オレ仕様のゲーム機を作ろう(その27)

今回は前回の続きではないのですが,オレ仕様ゲーム機「鶏八(とりはち)」を作る上で,プロトタイプ版をユニバーサル基板にワイヤラッピングで作っていましたので,それをご紹介します。

結構大きさがあり,場所を取ってしまうので,部品をソケットから外して基板を処分しようと思いましたので,その前に記事と写真を残しておきたいと思いました。

基板全体

プリント基板で作ったものと構成はほぼ同じなのですが,スクロール BG は 1枚のみ,スプライト基板は作っていません。

ですので,全部で 8 枚構成です。

一応,ここまで作ってなんとか動作はしました。(安定はしていませんでしたが…)

それでは順番に基板の説明をします。

インターフェース基板

右端にある USB コネクタで,ホスト PC と通信し,データの送受信を行います。主にホスト PC からプログラム(とデータ)を SRAM に転送します。

赤いタクトスイッチがリセットボタン,白いタクトスイッチがノンマスカブル割り込みボタンです。

Z80 CPU とのバス制御と,各種タイミング信号の生成を行っています。

メイン CPU 基板

左上の大きな 40 ピン DIP が,Z80 CPU です。Z80 CPU は全部で 3 つありますが,全体の制御的な役割をするメイン CPU になります。

その横に 1Mbit の SRAM が 4 つあり,ここにプログラムとデータが転送されます。

16KB のバンク切り替えで,合計 512KB あります。

電気二重層コンデンサで内容がバックアップされるので,しばらくは電源を切っても大丈夫です。

右端に 256Kbit の SRAM がありますが,ワーク RAM です。

右下のコネクタがジョイスティックポートです。

左下にあるトグルスイッチで 8bit のデータの読み取り,また,8bit のデータ書き込みで発光ダイオードを光らせることができます。

この辺は,いつもどおりといった感じです。

その他は,アドレスデコード回路と,割り込み制御,ウェイト生成回路で構成されていると思います。

サブ CPU 基板

こちらも,メイン CPU 基板と似たような感じになっています。

搭載している SRAM が,倍の 1MB になっていて,同じく 16KB のバンク切り替えでアクセスします。

BG のグラフィックスデータは,こちらのサブ CPU から転送するので,容量を大きめにしてあります。

こちらも電気二重層コンデンサで内容がバックアップされます。

固定 BG 基板

スクロールしない BG 画面を表示する基板です。

スクロールしない分,VRAM が少なく済むようにしています。

大きい方の SRAM が,グラフィックスデータを格納するメモリで,その隣の小さめの SRAM が BG のセルデータを設定するメモリです。

CPU からの書き込みと,ディスプレイへの表示を行うため,タイミングを調停する回路が含まれています。

スクロール BG 基板

上下左右に球面スクロールする BG 画面を表示する基板です。

4 画面分の大きさを持っているため,固定 BG 基板よりもセルデータを設定する SRAM が大きくなっています。

スクロールレジスタがある以外は,固定 BG 基板と構造はほとんど同じです。

画面ミキサー基板

固定 BG 画面とスクロール BG 画面を重ねて,それぞれから出力されたデータからパレット変換して,アナログ RGB 出力をする基板です。

スプライト基板からの出力も入る予定だったのですが,スプライト基板は結局作りませんでした。

また,スクロール BG 画面も 2 面分入れる予定だったのですが,1 面分しか作らなかったので,回路としては結構無駄な感じです。

サウンド基板

こちらは鶏八のサウンド基板とほぼ同じ回路なのですが,なぜかメイン CPU とサブ CPU の共有メモリが入っています。

なので,共有メモリを使ったテストプログラムを作ったあとで,サウンド基板を繋がないで動作させると,当然まともに動かないのですが,その動かない理由に気づくまでに結構ハマったりしました(笑)。

左上の方にサウンド制御用の Z80 CPU があります。

左下の大きい LSI が,ADPCM チップです。

下段中央に,ヤマハの FM 音源チップ,YM2151 (OPM) があります。

PCM 音源基板

最後が,PCM 音源の基板です。

右側にある ROM からデータを一定タイミングで拾ってきて,それをアナログ変換して再生しています。

また,サウンド基板から入ってくる FM 音源の音声と,ADPCM 音源の音声をミックスして最終的なアナログ音声として出力します。

テストプログラムの実行

昔,動作テストしたときの動画が残っていました。

固定 BG の下にスクロール BG をスクロールさせて,FM 音源と PCM 音源で,「グラディウス II ゴーファーの野望」のタイトル画面の音楽を再生しています。

最後に

結構,手配線で作ると楽しいですが,かなり時間がかかってしまいますし,また,同じ回路の基板をもう 1 枚作るとなると,かなり「うへぇ〜」な感じになってしまいます。

本当は,最終的に予定していたところまで作りたかったのですが,配線のインピーダンスやインダクタンス,浮遊容量の問題もあって,どんどん不安定になってくるので,自分のレベルではこれくらいが限界でした…。

また,機会があれば,ワイヤラッピングでの手配線の工作もやってみたいと思いますが,比較的簡単にプリント基板を作れるようになった今,やっぱり楽ですよね。安定もしますし。

…ということで,この試作基板は,部品を取ったら,廃棄処分になるのでした。合掌…。

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