デジタル回路のポイント – 抵抗による分圧と電圧降下

デジタル回路のポイント。第1回目です。

今回は,分圧と電圧降下について考えてみたいと思います。

抵抗による分圧というのは,割とよく使われる手法で,直列につないだ2つの抵抗によって,電圧が分割されることです。

デジタル回路って電圧が高いか低いかのゼロイチだから,分圧って関係あるの?って思いませんか…。

少なくとも私は昔そう思っていました。

実際,デジタル回路は,高い電圧と低い電圧の2つを扱うことがほとんどなのですが,この抵抗分圧の考え方を理解していると,この先の話題にうまく繋げていけたりします…(笑)。

いきなり結論

以下の回路があったとします。

 

A で表される点の電圧はいくつになるでしょう。

はい。2V ですよね。

オームの法則で考えると,次のようになると思います。

電源のプラスとマイナスの間に直列に接続されている抵抗は,2つ合わせると 5kΩ です。

この電位差(5V)に流れる電流は…

となって,1mA です。

2つの抵抗の両端にかかる電圧は…

なので,それぞれ 3V と 2V です。

…ということは,A で表される点は,GND を基準とすると 2V です。また,プラス電源を基準とすると,5V から 3V だけ電圧降下したことになります。

電源電圧を V,それぞれの抵抗を R1,R2 とし,降下する電圧を V1,V2 とし,式(1) を,式(2),式(3) に代入すると,それぞれ

となります。

また,降下する電圧は,それぞれの抵抗値の割合に比例することもわかります。

キルヒホッフの第二法則

閉回路において,起電力の和は,電圧降下の和に等しい

高校の物理で習うんでしたっけ?

上の例で言うと,起電力は電源である 5V です。電圧降下の和は,それぞれの抵抗における電圧降下の和になります。

よって,起電力と,それぞれの抵抗における電圧降下の和が等しいことがわかります。

スイッチで電圧を切り替えたい

…で,どういう話題に繋がるかと言うと…

これから,デジタル回路の話題を取り上げていくに当たって,手元のスイッチで,高い電圧(H レベル)と低い電圧(L レベル)を切り替えられると,実験や検証などで便利です。

よく,こういう回路を見かけますよね。(上で説明した図と似ていますね…)

A で表される点の電圧は,スイッチを押していない時と,押した時に,それぞれいくつになるか…?というやつです。(A の先には何も接続していないとします)

結論は,スイッチを押していない時は,5V で,スイッチを押すと 0V になります

私は,昔,なぜこうなるのかがわかりませんでした。

抵抗で電圧が降下するはずなのに,なんで 5V なんだろう…。

では,これを,スイッチも抵抗の一つとみなして先程の抵抗分圧の式に当てはめてみます。

スイッチオフ時の「スイッチの抵抗値」はというと…,接点が離れているので,ほぼ無限大ですよね。となると,上の R で示される抵抗が何Ωだとしても,A における電圧は 5V からほとんど下がらないはずです。

スイッチオン時の「スイッチの抵抗値」はというと…,接点が繋がり導通しますので,ほぼゼロになりますよね(スイッチにも抵抗があるので完全にゼロではありませんが)。となると,R でほとんど電圧降下し,電圧は限りなく 0V に近づくはずです。

なぜなら,それぞれの抵抗における電圧降下は,それぞれの抵抗値の割合に比例するからです。(上で説明した式に当てはめるとわかりやすいと思います)

…と言う感じで考えたら,「あ〜なるほど〜」と思ったのでした。

実際に検証してみると…

理論上は,R の抵抗値をいくつにしようが(>0Ω),スイッチオフで,5V,スイッチオンで 0V になるはずです。(導線は 0Ωとして考えます)

実際に同様な回路を作り,スイッチオフの状態で,アナログテスターを使って,A 点と,GND 間の電圧を測定してみます。

R を 10kΩとしたとき,5V より,ほんの少しだけ電圧が下がりました。

次に R を 100kΩにしてみます。A 点の電圧は,10kΩのときより,さらに下がりました。

そして R を 1MΩにしてみたら,さらに,電圧が下がりました。

あれ?おかしいですね…。抵抗値によらず,5V になるはずなのに…。

実はこれ,テスターの内部抵抗が影響しているためなのです。

アナログテスターをよく見ると,このような表記があると思います。

これは,1V あたり,20kΩの内部抵抗があるということです。12V レンジで電圧を測定しようとすると,240kΩの内部抵抗になります。

どんな感じかと言うと,こんな感じです。

なんと!テスターの内部抵抗によって分圧されちゃってます。

R = 10kΩだと,0.2V くらい電圧が下がります。

R = 100kΩだと,1.5V くらい電圧が下がります。

R = 1MΩだと,なんと,4V も電圧が下がります。

テスターの内部抵抗を考慮すると,ちゃんと計算通りになっているようですね。

どうやら,この抵抗とスイッチを使った回路,スイッチのオンオフによって,高い電圧(5V)と低い電圧(0V)を切り替えることはできそうですが,R の抵抗値と,A 点に接続するデバイスによっては,意図通りにならない可能性があるということがわかると思います。

まとめ

今回の抵抗による分圧と電圧降下での大事なポイントとして…

  • 電源のプラスからマイナスに向かって電気が流れるときに,途中の抵抗で電圧が下がっていき,最終的に起電力と同じ分だけ電圧降下する。
  • 直列につないだ2つの抵抗による分圧で,電源電圧以下の任意の電圧を作ることができる。
  • ただし,その先に接続するデバイスの内部抵抗による影響を受けることがある。

ということがわかりました。

このことを踏まえて,次回に続きます。

 

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